暑い朝になった。
24℃。東京と同じだ。
湿度が低いだけ(56%)、過ごしやすい。
快晴の空の下、思い切り北海道の初夏を楽しみたいと思うが、時間はなかなかとれない。
インドのマハラシュトラ州でモンスーンの影響でA/H1N1感染者と死者が増えている。
報道は同州のプネとムンバイの状況を伝えているが、他の地域での状況はどれだけ把握されているのか気になる。
6月に入ってからムンバイ周辺で7人が死亡している。
大都市プネでも感染者は多いようだ。
他に南部のケララ州でもモンスーンの影響でインフルエンザが活発化しているという。
オーストラリア最南端のタスマニア州からの情報。
既に気温は10度以下の日々である。
未だA/H1N1インフルエンザの流行は始まっていないが、流行はこの2~3週以内に始まる可能性があると、公衆衛生局では警戒を呼びかけている。
人口50万人弱の島で、昨年は7人死亡している。
しかし今年に入ってA/H1N1インフルエンザは4人しか発生していないため、ロイヤル・ホバート病院では、インフルエンザ外来の開設を延期した。
しかし三分の一がワクチン接種を受けているので、最悪でも中等度の流行、もしくは軽度の流行で終わるかも知れないと当局では説明している。
ハイリスク者は無料で、A/H1N1ワクチンも加わった季節性インフルエンザ接種を受けることが出来るので、未接種者は急いで接種を受けるように求めている。
またハイリスク者以外は、A/H1N1単独ワクチンが無料が受けられるので。接種するように啓発しているようだ。
非常に古典的表現も当局ではしている。
すなわち、第2波は第1波よりも重大な流行となる可能性があるが、ワクチン接種が多くの人々にされているので、そうした事態は防ぐことは出来る、と言っている。
これまで三分の一の住民がワクチン接種を受けている。
オーストラリアでは昨年の冬にA/H1N1感染者は多く出ているので、集団免疫がある程度出来ているので、流行はそれほど大きくはならないと考えられる。
確かに世界的には、これまでのパンデミックインフルエンザに際して翌年の第2波の方が感染者数は多かったが、A/H1N1の場合、初めから免疫を持っている層がいることから、香港やアジアインフルエンザのような第2波の方が感染者数が多いという流行パターンにはならないと思われる。
また病原性も両パンデミックに比較すると軽度である。
下図はヨーロッパCDC出典の英国における香港インフルエンザ(1968~1969年)の際の感染者数の推移である。
このインフルエンザは易感染層に年齢特異性はなかったとされる。
第2波の方が発生が早く、また感染者数も多い。
パンデミックインフルエンザに対する被害想定は、今回のA/H1N1インフルエンザがパンデミックインフルエンザとWHOにより認定されたことから、少々混乱が生じてきた。
下表は2006年にオーストラリアのシンクタンクであるロウイ研究所での有名な推定被害状況である。(Global macroeconomic consequences of pandemic influenza、2006年)。
同研究所ではパンデミックの程度を4段階に区分している。表に示しているのは世界の被害状況であるが、他に国別の予想被害状況も算出していて、超重度の場合、日本では最大210万人の死者、米国では200万人の死者が発生と予想していた。
ここでは軽度のパンデミック(香港をモデル)の場合、死亡率は0.022%とし、世界での死者数は140万人としている。日本の場合は28600人とされる。
しかし、今回のA/H1N1インフルエンザの場合、世界での死者数はWHOでは18000人以上としているが、実際のところは不明に近い。もしその10倍の20万人が死亡したとしても、死亡率は0.003%程度である(人口に占める死亡者数の割合)。この推定率でも日本における死者数は3900人と、非常に多い。
2006年のロウイ研究所のパンデミック被害想定は、明らかに今回のA/H1N1のような軽症インフルエンザは含まれない。
ロウイ研究所がパンデミックインフルエンザによる被害想定(経済的、人的他)を算出し、報告書を出版した2006年度は、H5N1鳥インフルエンザ由来のパンデミックインフルエンザ発生が最も恐れられていた時期であった。
| 程度 |
類似インフルエンザ |
世界での死者数と死亡率 |
| 軽度、mild |
香港 1968-69 |
140万人,
0.022%死亡率 |
| 中等度、moderate |
アジア 1957 |
1400万人、0.22%死亡率 |
| 重度、severe |
スペイン1918-19 |
7400万人、1.1%死亡率 |
| 超重度、ultra |
スペイン 1918-19
(高齢者死亡率が高いと仮定)* |
14200万人、.2.21%死亡率 |
*スペイン・インフルエンザでは若年者が多く発病し、死亡した。その理由はサイトカイン・ストームによると推定されているが、現在のH5N1鳥インフルザによる人での発病者も若年に多く、中高齢者での発病数と死亡者は少ない。
現在、パンデミックインフルエンザによる被害想定は根本から考え直される必要がある。
パンデミックインフルエンザとは、実際どのような感染症なのか、実は良く分かっていない。歴史的記録から色々と想定してきただけで、その想定してきたパンデミックインフルエンザ(新型インフルエンザ)は、単に”仮想感染症”に過ぎなかったと言える。だからWHOのパンデミック定義も揺れ動き、定義を密かに変更したという批判が出たりしているのだ。{非常に多くの感染者と死者発生-->ウイルスの病原性は関係なく、単にウイルスが世界中に広がった状態}。
オーストラリアのシンクタンクであるロウイ研究所の報告書は2006年当時の作成とは言え、やはり”仮想感染症”に関する被害想定であり、実際に発生したパンデミックインフルエンザには何ら参考にはならなかったと言える。
何度も掲載するが、下表は管理人が考えているリスク別パンデミックインフルエンザの被害想定と、対応BCPである。
パンデミックインフルエンザは、スペインインフルエンザやH5N1鳥インフルエンザがをモデルにして考える時期は、A/H1N1の発生で明らかに去った。もちろん、このA/H1N1インフルエンザがパンデミック、または新型ではないとするなら話は別ではあるが。
インフルエンザの危険性は、発生インフルエンザの特性でシームレスに存在する。軽症から最重症までである。
それらの特性を医科学的に想定する作業が必要であるが、WHOでは何ら情報は出していない。
いつまでもA/H1N1をパンデミックインフルエンザの代表であるかのように言い続けていると、パンデミック対策は消極的になってゆく可能性がある。
下図はインフルエンザのリスクは、発生インフルエンザによりシームレスに存在することを示したものである。原図は2年前から発表しているが、関係者からはそれほど興味をもたれていなかったものである。
管理人が一番懸念しているのは、実験室内からのウイルスの流出事故、またはバイオテロによるパンデミックである。
このテーマは拙著小説{パンデミック追跡者}でのモチーフともなっている。
エジプト保健省と米国の研究者チームが、エジプトにおけるH5N1鳥インフルエンザ感染者の状況をまとめた。
{2006年3月から2009年3月までに確認された63事例である。
その間に疑い事例として、6355人が保健省に報告されている。しかし検査で確認されたのは1%となったようだ。そのうち24例(38%)が死亡している。38%の致死膣は多の国に比べて著しく低い。I
死亡の危険率は、女性であること、15歳以上であること、タミフル服用が2日以降で高くなること、が上げられた。2人以外全例、感染していると思われる家きんとの接触既往があった。
エジプトにおける致死率の低さは、エジプトの株が病原性の低いウイルスであることが原因とも推定されるが、他に、多くの小児例が早期に診断され、早期にタミフルを服用していることも理由と思われる。
感染した家きんや発病者と接触した人々5000人(無症状)がフォローされ、臨床症状の有無、そしてPCR検査でウイルス感染が確認された。全て陰性であった。感染の有無には血清学的検査が必要とされるが、これらの集団内で多くが感染しているとは思われないことから、検査は行われなかった。}
家きんや患者との接触者5000人における血清学的検査が行われなかったのは残念だ。ある程度の比率で無症状感染者がいると思われるが、多数の血清学的検査をエジプトで行うのは、多分、不可能に近いのかも知れない。PCR検査で(咽頭スワブ)ウイルスの感染が否定されたことだけでも意義があるのかも知れない。
真冬に入りつつあるオーストラリアでは未だインフルエンザ流行の兆しはない。
保健省がインフルエンザ週報第24週を発表した。(6月12日~6月18日)。
6月中旬になってもインフルエンザ流行の兆しがないことは、完全に予想に反したと言える。
当初は例年よりも2ヶ月は早く、すなわち3月からA/H1N1インフルエンザが流行し出すとオーストラリア保健省では危惧していた。
しかしインフルエンザシーズンが始まって1ヶ月半(5月から)、未だ流行の兆しがないと言うことは、同国内でA/H1N1の集団免疫がある程度出来ていることを示唆する。
ニュージーランドでも流行の兆しはない。
下記グラフ:検査で確認されたA/H1N1患者数

医療機関を受診したインフルエンザ様患者の割合。外来患者1000人中。
年度により調査システムの内容が若干異なっている。しかし今年度は明らかにインフルエンザの流行は遅れていると言える。流行株:2009年度:A/H1N1、2007年度:香港型ブリスベン株H3N2
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